WordPress 3.2.1 日本語版への更新

WordPress 3.2.1 日本語版がリリースされました。この案内にもきちんと書かれていますが、読みようによっては誤解したり不安を感じたりする方もあるようですので、ここにやや詳しく書いてみます。

WordPress 日本語版パッケージ

配布されているWordPress 日本語版パッケージに含まれているものは

日本語リソース
本体のメッセージを日本語に置き換えて表示するためのもの
WordPress 本体
日本語リソースでカバーできない変更のため、いくつかのファイルを差し替えている

のほかに、オマケとして

テーマ Twenty Eleven
日本語版ではこのテーマのメッセージを日本語に置き換える日本語リソースを同梱している
テーマ Twenty Ten
日本語版ではこのテーマのメッセージを日本語に置き換える日本語リソースを同梱している
プラグイン Hello Dolly
日本語版では、「プラグイン」の一覧で表示される説明文を翻訳している
プラグイン Akismet
日本語版では、「プラグイン」の一覧で表示される説明文を翻訳している
プラグイン WP Multibyte Patch
マルチバイト文字の取り扱いに関する不具合の累積的修正と強化を行うもので、日本語版で独自に同梱しているもの

です。

はじめてのインストールは問題ない

これまで WordPress を使用していなかったところに、はじめて導入する場合は、何も考えることはありません。最新版をダウンロードしてインストールしてください。

自動更新

WordPress 日本語版の新しいバージョンがリリースされると、WordPress の管理画面(ダッシュボード)で、その旨の通知があります。案内に従って手順をすすめれば、新しいバージョンに更新されます。従来(3.2まで)は、この手順でパッケージに含まれるすべて、つまり上述の本体とオマケのすべてがパッケージ内のものに更新されていました。

オマケは更新されなくなった

3.2.1 以降、自動更新では、本体のみが更新され、オマケの部分は自動更新されないことになりました。たとえばテーマ Twenty Eleven のバージョンは、WordPress 3.2 日本語版では 1.1 で、WordPress 3.2.1 日本語版では 1.2 です。もし 3.2 日本語版で運用しているところで、本体の自動更新を行っても Twenty Eleven は 1.1 のままです。

もし、これらのオマケをまったく利用していなければ、以下の話は読み飛ばしてもかまいません。

テーマやプラグインは別途に

オマケのテーマやプラグインに、もし新しいバージョンがリリースされた場合、本体の更新とは別に、個別に「更新」の通知があります。後から独自に導入したテーマやプラグインとまったく同等の扱いになるということです。

オマケのテーマやプラグインであっても、本体のリリースとは無関係に新しいバージョンがリリースされることがあります。

日本語リソースはさらに別途に

テーマやプラグインは、本体とまったく別途に更新できます。しかし、ここで注意することがあります。従来のように本体のオマケとして配布されていたときには、それらの日本語リソースや説明文を翻訳していたものを配布できていました。しかし今後、個別に更新される際には、それらの含まれないオリジナル(英語版)になってしまうのです。

テーマ Twenty Eleven を例にとります。「更新」の通知があったら、まずこの Twenty Eleven を更新します。その状態では日本語リソースは存在しません (1.1 のときに存在していても 1.2 に更新したら消えてしまいます)。そこで、日本語リソースを別途入手して、適切に配置します。現時点での最新の日本語リソースは http://i18n.svn.wordpress.org/ja/branches/3.2/messages/twentyeleven/ja.mo です (この記事をずっと後にご覧になる方はバージョンやテーマ名にご注意ください)。これをダウンロードして、wp-content/themes/twentyeleven/languages/ の下に置き、サーバーが読める状態にしておきます。

同様に、テーマ Twenty Ten の日本語リソースはhttp://i18n.svn.wordpress.org/ja/branches/3.2/messages/twentyten/ja.mo にあります。

プラグイン Akismet や Hello Dolly をもし更新した場合は、「プラグイン」一覧に表示される説明文が日本語ではなく英語になってしまいますが、動作には何ら影響はありません (この説明文はそれぞれの php の冒頭にコメントの形で書かれているものです)。どうしても気になる場合は、やはり日本語版の配布元 (http://i18n.svn.wordpress.org/ja/branches/3.2/dist/wp-content/plugins/ あたりにあります) から、その部分を差し替えたものを入手して、適切に配置してください

WP Multibyte Patch

WP Multibyte Patch は新しいバージョン 1.5 で、この自動更新の振る舞いの変更に対応されました。

WP Multibyte Patch 1.5 をリリースしました。
今回は重要な変更があります。設定ファイル (wpmp-config.php) の設置場所が /wp-content の下に変わりました。設定ファイルをサイトでご利用中の方は、以下配置で再設定を行ってください。

/wp-content/wpmp-config.php

この作業は設定ファイルをご利用中のサイトにおいて 1.5 より古いバージョンから 1.5 以降のバージョンにはじめてアップデートした場合に1度だけ必要となります。設定ファイルをご利用でない場合は作業の必要はありません。

ということですから、注意してください。

公開 Jabber/XMPP サーバー

半年ほど前から、Jabber/XMPP サーバー STEP.imを公開しています。

Jabber/XMPP については、しばらく前に記事にしました。Jabber/XMPP をはじめるには、アカウント (JID) が必要です (ちょうどメールを使う際にメールアドレスが必要なように)。もし GMail のアカウントや WordPress.com のアカウントをお持ちであれば、それらを JID として使うことができます。これらのアカウントを持っていない、または使いたくない場合はこの STEP.im でアカウントを作ることができます。

また、グループチャット(Multi-user chat, MUC) の談話室をこの STEP.im に開設することができます (STEP.im のアカウントを持っていなくても開設・参加できます)。IRC によく似ていますが、後発なだけに、IRC の欠点を補って使い勝手のいいものです。

数年前から、自分のごく近傍で Jabber/XMPP を利用してきました。なかなか優れていると思うのですが、あまり話題になることがありません (Google トークや Facebook チャットなど、ユーザーに意識させないところで浸透しているようですが)。クライアント Gajimの日本語訳、サーバー ejabberd の日本語訳のお手伝いなども行ってきました。そしてとうとう公開サーバーを運用することにしたのです。

どうぞよろしくお願いいたします。

GNOME でのシャットダウンの禁止—最近の流儀

検索で古い記事「gdm でのシャットダウンの禁止」にだどりつく方があるようなので、最近のやり方を書いておきます。

その記事にあるように、私にとってそもそもなぜこの設定をしたいのかというと、うっかりミスの防止です。ログイン後のメインメニューで、「ログアウト」と隣り合って「シャットダウン」の項目があり、単にログアウトするつもりがシャットダウンしてしまうことがあるのです。

最近の流儀では policykit で設定で行うようです。その方法はdebian-user メーリングリストにあるとおりです。要点を簡単に記すと、

  • /usr/share/polkit-1/actions/org.freedesktop.consolekit.policy を書き換えるという回答もあるが、このファイルはそもそも設定ファイルではないし、バージョンアップによって書き換えられる(元に戻ってしまう)ので、よろしくない。
  • /etc/polkit-1/localauthority/50-local.d/ に適当な名前(ただし末尾を .pkla にする)のファイルを作り、その中に次のように書く。
    [consolekit]
    Identity=unix-user:*
    Action=org.freedesktop.consolekit.system.*
    ResultAny=no
    ResultInactive=no
    ResultActive=no
    [upower]
    Identity=unix-user:*
    Action=org.freedesktop.upower.*
    ResultAny=no
    ResultInactive=no
    ResultActive=no
    
これで GNOME のメニューから「シャットダウン」の項目が消えます。

異体字同一視検索

PostgreSQL をバックエンドに、フロントエンドを PHP でどうにか書いて、自前のデータベースを仕事に使っています。そこでたまに異体字を同一視してほしい(たとえば「斎藤」さんだったか「齊藤」さんだったかうろ覚え)ときがあるのですが、それほど頻度も高くないし、人間が注意して対処(「読み」も登録しているので「さいとう」で検索)すれば乗り切れるので、つい後回しにしていました。

そろそろ何とかしなければ、と web を検索したところ、「異体字同一視検索」を見つけました。そう、以前に調べたときにこの方と同じく「漢字データベースの異体字データベース」を見つけてはいたものの、そこからどうしようと思いながらそのままにしていたのでした。

さっそくそのページの説明のとおりに自分のスクリプトに組み込みました。こちらでは日本語のいわゆる旧字体があれば十分で、簡体字は必要ではないのですが、そのままで快適に機能しています。このように情報を公開していただいていることに大変感謝しています。

インターネットラジオを FM ラジオで聴く

radiko や NHK のインターネット配信とちょうど逆の話。

仕事中に音楽を聴きたい。しかし目の前にある PC にはスピーカーが付いていない。どうしても必要なときのために簡単なヘッドホンを付けてあるのだが音楽を聴くのには向いていない。1時間に数回は席を立つので紐付きになってしまうのは非常にうっとうしい。

FM トランスミッター

FM ラジオで聴くことにした。と言っても普通の放送局では好みの音楽をやっていない。そこで、音楽サーバーを置いて電波を出すことにした。

目の前の PC のほかに、いわゆる自宅サーバーとして電源を入れっぱなしの PC がある。これに FM トランスミッターを付けた。しばらく前に買ったもののすぐに使わなくなっていた オーディオテクニカの AT-FMT6だ。もともと電池式だが、無理矢理ケーブルを付けて USB から電源をとるようにした。

XMMS2

Debian で動いているこの自宅サーバーには、これまでサウンド関係のソフトは入っていないので、まず alsa-base パッケージをインストールする(必要なものが芋づる式にインストールされる)。音楽プレーヤーは、軽そうな XMMS2 にした。xmms2 パッケージをインストールするとこれも必要なものが芋づる式にインストールされる。そのほかに必要となりそうなプラグイン、xmms2-plugin-curl, xmms2-plugin-pls などもインストールした。

XMMS2 はプレーヤー本体と操作パネルを分離できるので、今回のような場合にはもってこいである。サーバー側には上記のものを入れ、目の前にある PC にクライアントの gxmms2 を入れる。X や libgtk はこちらにだけあればよい。

サーバー側で

xmms2 config core.ipcsocket tcp://192.168.1.101:9667
のように、接続しにくるクライアントを指定しておき、いっぽうのクライアント側では環境変数 XMMS_PATHtcp://192.168.1.2:9667 のようにサーバーを指定する。

そしてサーバー側で xmms2-launcher として、デーモンを動かしておき、目の前の PC で gxmms2 を立ち上げる。

プレイリスト

あとの操作は gxmms2 で……と思ったものの、gxmms2 でのプレイリストの作成手順がよく分からないので、これはサーバー側に付いている CUI の nyxmms2 で行うことにした。

まず適当な名前で playlist を作成する(以下の例では gourd)。リストを切り換えて、聴きたいストリームの pls を加える。

nyxmms2 playlist create gourd
nyxmms2 playlist switch gourd
nyxmms2 addpls http://stream-19.streamsolutions.co.uk:9052/listen.pls

複数の接続先を設定したければこれを繰り返して行う。聴くときにはクライアントの gxmms2 でリストの切り換えができる。


サーバーは家のほぼ真ん中の階段下に置いてあるので、仕事場だけでなく台所や寝室のラジオでも聴けるようになった。トランスミッターのアンテナがもう少しよければ、庭仕事のときにも聴けるのだが。

GNOME の「最近開いたドキュメント」

evince などを起動しようとすると、数分ものあいだ固まったようになってしまうことがごくたまにある。そのときは、GNOME の「最近開いたドキュメント」が記録されている ~/.local/share/recently-used.xbel の内容を消去すると直る。

原因は、そのファイルに NFS の向こうにあるファイル名が記録されているからだった。「ごくたまに」というのは、目の前の PC を使っているときに NFS 先のもうひとつの PC が動いていないことはめったにないから。で、いま evince で見たいのは手元のファイルという場合だと、NFS 先の PC の電源が入っていないことはわかっていても、起動がおかしくなる原因がそれとはすぐに思いつかない。起動時に勝手に(?)「最近開いたドキュメント」を読み込もうとして、そこで引っかかっている。

それで、手っ取り早い解決策がそのファイルの中身を消去すること。

数年前にもこれで首を捻ったことがあるのだけれど、ずいぶん長いこと同じ目に遭わなかったのですっかり忘れていて、またもや首を捻ってしまった。そういう訳で、たぶんほかの人の役には立たないけれど、自分のためにここにメモしておく。

Debian の psql で日本語を入力できない

Debian の PostgreSQL のフロントエンド psql で日本語が入力できなくなっていることに気づいた。いろいろ検索してみてわかったことをざっと記すと、まず、以前の psql では問題なかったのが最近おかしくなったのは

#603599
これまでの psql は libreadline (GPL v2+) と libssl (BSD-like であり GPL とは非互換) の両方にリンクしており、ライセンス的にバイナリの再配布は不可能。そこで、libreadline をやめて BSDライセンスの libedit にする

という事情らしい。

#607109
psql でマルチバイト文字が使えない

で指摘されているように、-n オプションを使えば回避できることから、libedit のバグのようだ。

同じ libedit を使っている gnuplot

#596870
非アスキー文字が使えない

で、実際に試してみたらそのとおりだ。

当の libedit には

#579729
utf8 に対応した新しいバージョンをパッケージしてほしい

という要望が出されているものの、動きはなし。

上流は NetBSD libedit なのだけれど、「libedit I18N化への道」(イントロ)を見ると、utf8 対応といっても問題が多く、ことの成り行きはこの方にかかっているらしい (つづきが(その1)(その2)(その3)(その4)(その5)。そしてこの時点での最新の「めもがき」によると、たいへんお忙しいらしい)。

さし当たりこの問題を回避するには、libreadline / libedit の機能をあきらめて psql -n として使うか、libedit を libreadline に差し替えてパッケージを作り直すか。根本的解決は、能力のない者としてはただじっと待つより為す術がない。