繰り下がりのあるひき算で、「減減法は筆算でつまづく」か

スウちゃん(仮名)は2年生になり、小学校でも筆算を習うようになった。早い時期から位取りの概念を掴んでいてもらいたく、家では1桁どうしのころから筆算に慣らしていたので、特に苦労はないようだ。

学校の宿題のドリルをやるのを脇で観察していたらスウちゃんが「自分のやり方でやってもいい?」と聞く。何のことかと思って「いいよ」と返事をして見ていると……。

32-19たとえば「32-19」の場合、スウちゃんは次のようにやる。

  • 2から9はひけない。そこで9から2をひいて、7
  • その7を10からひくと「3」。これを一の位のところに書く
  • 十の位の計算はさきほど使ったぶんの1を減らして、「1」

父である私は多数派(たぶん)のやり方、「10から9をひいて1、それを2とたして3」とやる。調べてみると自分のやり方には「減加法」という呼び名があるようだ。それに対して「減減法」というのがあって、「9のうちひけるだけの2をひいて、ひききれなかった7を10からひいて3」とやるらしい。スウちゃんのやり方は「減減法」の亜種という感じだ。

調べていて、「減減法は筆算でつまづく」というのを何回か見かけた。そうだろうか。

スウちゃんは、筆算の問題をたくさん見ているうちにこの「法則」を発見(という言葉は使わなかったけれど)したとのこと。だから筆算のときだけこのやり方になる。というか彼女の中ではこのやり方自体が「筆算」という解法の一部らしい。それなりに理にかなっており筆算の邪魔になってはいないように見える。将来何か困ることがあるのだろうか。

スウちゃんのやり方は、この論文では「誤りのパターン」と言われている

スウちゃんに繰り下がりの意味をあらめて聞いてみると、学校でも習ったとおりにきちんと説明できる。それに、1年生のときの「20未満ひく1桁のひき算(繰り下がり)」は「ひき算カード」で何か月も宿題として暗唱させられていたから、それはすらすらと口から出てくる。

いずれにしろ、機械的に計算する(筆算とはそもそもそういうものだと思うが)場合はともかく、「ひき算」や「繰り下がり」の意味を見失わないようにしておくことが肝心なのだろう。