薪ストーブのガラスを交換

薪ストーブのある暮らしについて書こうと思っているうちに時間が経ち、その最初がいきなり大きなトラブルのことになってしまいました。

今年(2015年)の初冬は暖かで、シーズン最初の火入れは例年より20日ほども遅く、11月も終わる頃。その2日め、「ピシッ!」という音とともに、ストーブ扉のガラスに、向かって左上から中央ほどまでヒビが入ってしまいました。火はガンガン燃えているし(だからこそヒビが入ったのですが)、どうしようと思っている間にまた「ピシッ!」と音がしてヒビは右下にまで達し、ガラスは2つに割れてしまいました。

この薪ストーブはもう20年ほど前のアメリカから個人輸入のもので、有名メーカーのものでもなく(いま調べてみるとこのメーカーの主力商品は焼却炉)、いまや廃番になっているようで部品として調達することはほぼ無理です。そこでまずはネットで「薪ストーブ 耐熱ガラス 交換」で検索しました。ほぼトップに出てくるブログ記事「薪ストーブのガラス交換」を読み、そこで紹介されているネット通販(これも先ほどの検索でほぼトップに出てきます)で入手できることがわかりました。そのサイトで簡単に見積りをとることができます。電気硝子建材の「ファイアライト」(5mm厚)が耐熱800℃と薪ストーブ向きで、うちのガラスは 400mm×250mm ほどの大きさなので、1万円強になりそうです。

扉をあけて内側から見たところ
ただ、形状が簡単な長方形ではなく、上辺が丸くカーブしています。加工料もいくらか上乗せになりそうですし、何しろこれを正確に伝えなければなりません。せいぜい 1mm ほどの誤差しか許されず、神経を使いそうです。

そこで、直接会って話せるガラス屋さんを探してみることにしました。電話帳(タウンページ)を繰ってみます(紙の電話帳を使うのはかなり久しぶりです)。「ガラス店」の欄は、ガラスが割れたらすぐに電話を受けたいという業者が、町名をやたらと羅列して何行にもわたって場所をとっていて、ちょうど「水道工事」や「鍵」の欄と似たようなことになっています。こういうところは今回のような特殊な案件を持ち込んでもまったく相手にしてくれないかふっかけられるかのどちらかしかなさそうな気がして、見送りました。ちょっと町工場ふうの業者が割と近くだったので、そこに電話してみました。先に結果を書きますが、これが大当たりでした。

私「そちらは、割れたガラスの修理など個人相手もやってらっしゃいますか? 実は薪ストーブの耐熱ガラスが割れてしまって、それを直したいんですが。」

ガラス店「あー、そういうのはストーブのメーカーに問い合わせられたほうがいいと思いますよ。」

私「実は個人輸入もので、メーカーに連絡をとるのは絶望的なんです。しかも20年ほど前のもので廃番になってるらしくって。」

ガラス店「そりゃあしかたないですね。」

私「それで、耐熱800℃くらいのガラスを切ってもらえたらと思ってお電話しました。」

ガラス店「えっ、800℃! それは無理なんじゃないかなあ。200–300℃のなら扱ったことあるけど。」

私「そうですか。ネットでいろいろ調べてみたら、ネット通販で買えるところはありそうなんですよね。だけど形が長方形じゃなくて、ひとつの辺がまーるくなってて、それを正確に注文するのがややこしそうなんで、近所で直接話せるところがないかなと思ってお電話したんですよ。」

ガラス店「そうなんですか。そのガラスの商品名わかります?」

私「電気硝子建材の『ファイアライト』ってやつみたいです。」

ガラス店「あ、それ扱ってます。そんな高熱でも大丈夫なのか。在庫あるんじゃないかな。」

私「そうですか! 400mm×250mm くらいの大きさです。」

ガラス店「ちょっと在庫調べときますよ。ちなみにネットでいくらくらいでした?」

私「その大きさだと1万円ちょっとになりそうでした。」

ガラス店「うーん。それくらいでできますよ。」

私「ありがとうございます!!」

ガラスにヒビが入ってすぐに電話したのが金曜日の夕方でした。翌土曜日は営業していてしかも外の仕事にも出かけないとのこと。その土曜日に再度電話で確認すると幸運なことに在庫があり、すぐに車で割れたガラスが入ったままのストーブ扉ごと持っていきました。

さっそく作業を始めるガラス屋さん。きれいに2つに割れているだけなので、それをきちんと合わせながら新しいガラスの上に重ねて油性ペンでさーっと線を引き型を取ります。詳しい説明も何も必要ありません。これが対面のいいところ。

雑談しながら作業は進みます。

ガラス店「へえ、扉こんなに重いんですね。薪ストーブはこれまでやったことないもんだから。昨日あれから問屋に聞いてみたりしましたよ。」

私「割れた原因に思い当たることがあって。夏の間に、いったんガラスを外してその回りのガスケット(ガラスロープ)を取り替えたんですよね。そのあと取り付ける時に、この金具のネジをしっかり締めてしまったんですよ。締め付けがきつ過ぎたのが原因だと思います。でもまあたぶん20年ほど一度も交換していないんで、劣化もしてたでしょうけど。」(締め付けすぎが破損原因になるというのが今回検索してみてたくさん出てきました。しょっちゅう扱っているストーブ屋さんならともかく数年に一度(あるいはまったく初めて)しかやらない者だとうっかりしてしまいます。事前にちゃんと調べておくべきでした)

ガラス店「なるほど。確かにちょうどその金具のところから割れてますもんね。」

私「耐熱ガラスを納めることもあるんですね?」

ガラス店「厨房機器や工場の機械の覗き窓なんかですね。それぞれそんな大きくないんだけど、その度にファイアライトを小さいので仕入れていると高くついて。そんな注文が何度かあったんで大きいので仕入れてたんです。それでその端材みたいなのが残ってたんですよ。」

私「なんてラッキーなんだろう。」

ガラス店「はい、できました。はめてみましょう。あれ、ぴったり同じ大きさなのに入らないな。」 (ぴったり入らなかったのは私がつけすぎたボンドがあちこちにはみ出して硬化していたからです。ガラス回りにはボンドは要らないというのも今回検索して知りました。まったく事前に調べておくべきでした。そのはみ出た部分をマイナスドライバーでこそぎ落として、ガラスは無事にはまりました)

ガラス店「今度はネジを締め過ぎないようにね。」

私「はい。」

ガラス店「じゃ、1万円とは言いませんから、8000円で。」

私「ありがとうございます!!」

という具合。面倒な説明も要らず、トラブル発生から24時間以内(実質30分足らず)、8000円(税込)で、ストーブ扉の割れたガラスは完全復旧しました。もし有名メーカーの純正品だったら、たとえばブログ記事のこんなところこんなところ、ストーブ店のこんなところなどを見ると、数万円もかかるところでした。親切な町のガラス屋さんに出会えてほんとうにラッキーでした。

Google Talk は生きている、のか?

先日、ChatSecure という携帯端末向け XMPP クライアントを試してみたとき、Google Talk (Google トーク)をふつうの XMPP として使えることに気がつきました。

2015年の初めころ、Google Finally Kills Off GoogleTalk and XMPP (Jabber) Integration などの記事を見て、XMPP との互換性を捨てて「Google ハングアウト」に移行する形で Google Talk はなくなったものだとばかり思っていました。そう、No, it’s not the end of XMPP for Google Talk というタイトルの記事を読んでいても、です。

これらの記事を目にした前後からついその時に至るまで、自分がふだん使っているクライアント Gajim で Google Talk のアカウントにログインできなくなっていました。それで「ああ、終わったんだな」と思い込んでしまったのです。

ところが先日 ChatSecure を試した際、その ChatSecure では GMail アカウントを用い、まったく他所の XMPP サーバーのアカウントの間でチャットできたのです。

前の記事を今よく読み返してみると、

Note that you can still continue to use the Google Talk Service with a third party XMPP client and the Google Talk XMPP servers continue to federate with other domains.

とあります。

ではどうして、PCのクライアントからはログインできなかったのでしょう? いろいろ検索して調べてみてわかったことは、Google アカウントの「2段階認証」を有効にしていたためにクライアント Gajim からログインできなかったようです。自分もこの2段階認証に切り替えたのが、ちょうど前の記事が出てそれを読んだ頃だったのかもしれません。

アプリ パスワードでログイン」というヘルプがその解決法でした。そこにあるとおりにパスワードを生成し、それを Gajim で使うことで無事にログインできました。いったんログインできてしまえば、あとはまったくふつうの XMPP アカウントとして使うことができます。

時系列的にまとめると

  • Google は 2005年ころ Google Talk というサービスを始めた。それは XMPP の拡張で、サードパーティの XMPP クライアントでも利用でき、また他の XMPP サーバーとも相互に会話できた。
  • Google は 2013年に Google Hangout という、Google Talk 後継のサービスを始めた。この時点で「Google Talk というサービスは終了」と言われているが、Google Hangout の機能のうちの文字によるチャットは Google Talk 互換であり、つまり XMPP として利用できた。
  • 2015年2月、Google 自身による Google Talk アプリ(Windows版)は廃止された。(Android版や、FirefoxやChromeの拡張機能の版も存在していたと思うが、たぶん同じ頃に消えたのだろう)
  • この2015年2月に「Google Talk は死んだ」と言われた。たとえば You Have No Choice: Google To Shutdown GTalk Feb. 23, Hello Hangouts など。しかしその記事でもじっくり読んでみると、However, users who are unable to give up GTalk can use third-party Windows apps, such as the open-source Miranda IM, Jitsi, and Psi, to continue using GTalk. と最後のほうに書いてある。

ということのようです。ただし「安全な接続」については注意が必要です。それこそ前の記事に書いたような、OTR など終端間暗号化(E2EE)を用いるのがいいかもしれません。

ChatSecure — 携帯端末向け XMPP クライアント

ChatSecure という XMPP クライアントの存在を教えられて、手元の Android 端末にインストールしてみました。

インストールは簡単。初期設定はまずアカウントです。Android端末だとたいていは google アカウントが入っているはずで、ChatSecure にもそれを使うかという画面になります。他の XMPP サーバーにアカウントがあってそれを使いたい場合は横にスワイプしてそこで設定します。

ChatSecure の特徴は、このアプリの名前や開発元(The Guadian Project)からわかるように、何と言っても「暗号化」です。OTR (Off-the-Record) という規格にしたがって、終端間暗号化でチャットできます(もちろん相手先もこれに対応していること)。 OTR については、「OTRでオフレコチャット!」の記事などが詳しいです。

「大した内容のチャットじゃなし、暗号化なんて別にどうでもいい」と思うかもしれませんが、巷で流行している LINE のようなサービスと比較して書いてみます。

クライアント-サーバー間が暗号化されているか

これは TLS(SSL) でも実現できます。Wi-Fi 接続やら、インターネット接続プロバイダー、回線会社など途中経路での盗み見・改竄を防げます。

サーバー-サーバー間が暗号化されているか

独立していて他のサーバーとの相互乗り入れができない、ほとんどのメッセージングサービスではあまり関係がないかもしれません。XMPP はサーバー間の相互接続が当たり前ですが、それらのサーバーが適切に設定されていればサーバー-サーバー間も暗号化されています(ちょっと古い記事ですが、Support for STARTTLS and SASL in s2s Connections の図がちょうどいいイメージです)。

サーバー内でも暗号化されているか

TLS でクライアント-サーバー間が暗号化されていても、たいていの場合、サーバー内では復号されて相手先の読めるところに保存されます。サーバー内で何がなされているか、ユーザーは知るすべがありません。サーバーの運営者を信用できるかどうかにかかってきます。発信時に個々のメッセージを暗号化(つまり終端間暗号化 End-to-End Encryption (E2EE))すればここで盗み見・改竄されることを防げます。

端末内の余計な情報を収集していないか

ChatSecureこれは通信の暗号化とは関係ありません。たとえば LINE では、端末内のアドレス帳など余計な情報を収集したりすることがあります。LINE のアプリはソースが公開されていませんので、本当のところ何をしているかはわかりません。独立型チャットサービスでしかもサードパーティのクライアントが許されていないようなものは、運営者をもう単に信じるかどうかという問題です。XMPP や OTR といったオープンな規格、ejabberd のようなオープンソースのサーバー、ChatSecure のようなオープンソースのクライアントという組み合わせでは、そのような信頼できない行為を隠しようがありません。

ChatSecure は OTR を使わなくてもよくできた XMPP クライアントだと思います。見た目は直感的で、操作に戸惑うこともあまりなさそうです。日本語化もされていますし、さほど詳しくないような人にもお勧めできます。

昨年のクリスマスプレゼント「インラインスケート」

また今年もこの時期になったわけですが、昨年のプレゼントを1年間経ってから振り返ってみるシリーズです。

当時6歳のスウちゃん(仮名)の元に届けられたのはインラインスケートでした。秋口に一度アイススケートに連れて行ったらずいぶん楽しかったらしく、何度もせがまれてそのうち2,3回はまた連れて行ったのでした。いっそのことアイスでなくてもいいのでは、とサンタクロース代理人である私は考えました。

当時、まずおもちゃ屋を見てみたのですが、確かに値段の安いおもちゃ風のものはありました。でもちょっとちゃちすぎないか、と思わされる作りでした。いっぽうでネットで調べてみると本格的なものは値段も本格的。そこでそのあいだくらいという感じの「RIP SLIDEジュニアアジャスタブルインラインスケート5点セット イエロー L」にしてみました。これを書いている2015年11月現在、同じものは品切れとなっているようです。

サイズはやや大きかったのですが、靴下を履いてしっかり締めればグラつきはなく大丈夫のようです。滑りはそこそこよかったです。いちばん近くの練習場所は舗装があまり上等ではなく、どちらかというとそちらのほうが問題ですね。いい場所で滑ればかなりいいのだと思います。

アイススケートで少し慣らしていたこともあって、よたよたと歩いては転び立ち上がるというのを数回繰り返した後は、徐々に滑る(というよりは「歩く」か「走る」程度)ことができるようになりました。子どもはすごい。

残念なのは、まわりの友だちも持っていないと楽しく一緒に遊べない、という点ですね。まあちょっと早すぎるかなという年齢でもあるので、同い年の友だちが持っていないのはしかたありません。サイズはアジャスタブルでもう数年は大丈夫なので、そのあいだに仲間が増えるといいな。