薪ストーブでブルーベリーパイ

スウちゃん (仮名、9歳) が突然「リンゴない?」と聞いてきました。数日前に買ってきた冷凍パイシートのパッケージの裏に書いてあるアップルパイの作り方を見ていたのです。「そんな急に言われてもないよ」と答えるしかありませんが、夏に採ったブルーベリーがまだ冷凍庫に残っていたことを思い出し、これでやってみることにしました。

材料

  • 冷凍パイシート 4枚入
  • ブルーベリー 適量 (100gくらい?)
  • 砂糖 適量 (30gくらい)

小鍋 (相変わらず鉄鍋でも気にしないことにします) にザラザラっと入れたので正確にはわかりませんが 100gくらいのブルーベリー、それを見て砂糖も適当に。薪ストーブの天板に載せるとすぐ水がどんどん出てきます。とろみが出るまで1時間ちかく煮詰めました。

1枚のパイシートにブルーベリーのジャムを載せ、その上に短冊状に切ったもう1枚分のパイシートを載せました。パッケージには4枚入だったので、これが2組できます。

焼くのも薪ストーブを使います。うちの薪ストーブの火室は幅18インチ、奥行き21½インチとやたら大きく、またガラス窓の前面以外は1¼インチ厚の耐火レンガで囲われていて、ちょうどピザ窯みたいなものなのです。朝から焚いているのでしっかり熱くなっています。火室内の温度を見極めるのが難しいのですが、暖房としては弱すぎるくらい温度が下がってきた頃がちょうどよくなります。炎が上がっているのではもちろんだめで、ジャムを煮詰めている後半からだんだん火を絞り、残った熾は奥の方に押しやって手前を灰だけにして (そうしないと底が熱くなりすぎ、上面が焼ける前に裏面が焦げてしまいます) 五徳を入れ、そこにパイ生地を載せたスキレットを置きます。

数分で焼き上がります。するとスウちゃんはさっさとそれを持ってお友達のところへ出かけていってしまいました。出来上がりの味はわかりませんが、鍋に残ったジャムを舐めてみたらちょっと甘すぎたかもしれません。今回は冷凍のパイシートを買ってきていたので、たいへん楽でした。

薪ストーブで八朔マーマレード

家の裏にある八朔がたくさん実をつけたので、マーマレードを作ることにしました。肥料どころか普段から何一つ手をかけない放置状態ですから、掛け値なしの無農薬です。

「焦げつかない程度に火を強くして短時間で」らしいですが、量が多いと結局は時間もかかるし何かと大変なので、うちでは薪ストーブで煮込みます。それに金属でなくホーロー鍋のほうがいいらしいですが、それも気にしないことにします。

材料

  • 八朔 2000g
  • 白砂糖 800g

作業1日め

今年一番の雪の後にソリを引いて収穫に行きました。積もった雪のおかげで実に手が届きました。でもこの雪で大枝が折れてしまいました。来年以降はどうなることやら。

八朔をきれいに洗い、4分の1にカットして、外皮と果肉に分けます。

外皮は、千切り (できるだけ薄くスライス) します。今回はスウちゃん (仮名、9歳) が外皮をぜんぶ包丁でスライスしました。けっこう固いし大丈夫なのかと思いましたが割と上手に薄く切り、いつの間にかこんなことも難なくこなせるようになったんだなあと感心しきり。

果肉は、スウちゃんが外皮を切っている間に父がひたすら薄皮剥き。本当の果肉と、薄皮・種を別にして保存しておきます。

2人とも手が忙しいだけなので、たくさん色々な話ができました。普段は宿題などやらなければならないことや楽しいことに気持ちがいってしまうので、じっくり話す機会が実は減っていたのだなと逆に気づかされました。

外皮は水を換えながら揉み洗いを数回、その後たっぷりの水に浸しておきます。そんな感じで1時間ほどで作業終了。

作業2日め

都合で1日あけたので、丸2日近くも水に浸しておいたことになります。途中で何度か水を換えています。

小鍋で、別にしておいた薄皮・種を少量の水で煮はじめます。2時間ほどでどろどろになるのでザルでこし、その汁を後で使います。

水に浸していた外皮を、水切りして鍋に入れ、500ccくらいの水[1]で1時間ほど煮ます。はじめは全部が水に浸らないのでときどきかき混ぜます。

果肉ぜんぶと砂糖の半量、小鍋でできた汁 (増粘剤となるペクチン) を加え、さらに1時間ほど煮ます。瓶の煮沸に湯をたくさん使うので、八朔を煮ている鍋の脇でヤカンなどで沸かしておきます。

八朔を煮ている間に瓶の用意をします。きれいに洗って大きな鍋で煮沸します。大鍋は薪ストーブの上に載せにくいので、これはガスコンロで行います。

さて八朔に戻って、残りの砂糖を加え、水分が少なくなり粘りが出るまで煮ます。焦げつかないように何度もかき混ぜます。ヤカンの湯は煮沸に使ってしまいましたが最後の瓶詰めにもたくさんの湯を使うので、またヤカンで沸かしておきます。

最後は、長期保存のための瓶詰めです。きれいになった瓶にマーマレードを入れていきます。瓶の口とネジの部分をきれいに拭いてから蓋を載せ、ネジ蓋を軽く締めます (蓋の丸い平らな部分と、周囲のネジの部分が分離しているタイプです)。このときはまだ強く締めません。カゴに入れて煮立ったお湯に瓶の下半分を浸し、10分ほど瓶ごと茹でます。これは大鍋であることと瞬発的な火力がほしいのでガスコンロで行います。

充分熱くなったらそこから瓶を引き上げながらネジ蓋を強く締めます。だんだん冷めてくると中の圧力が下がり、「ペコッ」と音がして蓋の中央が凹みます。密封できている証拠です。これで軽く1年は保存できます。半パイント瓶に11本のマーマレードが完成しました。

今回はちょっと手を抜いたこともあって、苦味がやや強くなりました。それはそれで美味しいですけどね。外皮の内側の白い部分を包丁を入れてできるだけ取り除く、外皮を煮る際のはじめの煮汁を捨てる、薄皮・種は使わない、そして砂糖を多めになどすれば、もうちょっと苦味の少ない甘いマーマレードができるかもしれません。

  1. 結局、最後は煮詰めるので水の量は適当です。

室内の薪運搬用ハウスカーのタイヤ交換

今年も寒くなってきて、薪ストーブのシーズン到来。

シーズンはじめには何かとトラブルが起こる(気づく)ものです。 昨年のシーズンはじめにはガラスが割れるというトラブルでしたが、今年は思わぬところに発生しました。室内の薪運搬用に使っているハウスカーのタイヤのパンクです。

薪を室内に運び込み、それをストーブ脇までどうやって運び、そこに置くか。はじめはストーブ脇の箱まで手で抱えて運んでいたのですが、やはり辛すぎました。

世間での薪ストーブはどうも趣味のものらしく、格好よくきめようとするといろいろと高価なものもあります。ですが、うちはなるべく安く実用本位を目指しています。試行錯誤の結果、ホームセンターで見かけた農作業用の「ハウスカー」に、スーパーマーケットでもらってきたバナナ箱を使っています。バナナ箱は穴が多いのがこの用途には欠点ですが、軽くて丈夫、汚れたり壊れたりしたら無料で交換できるので、とても重宝しています。

「ハウスカー」は本来、ビニールハウス内作業用らしいです。タイヤ径が大きいのが、屋内でも段差の多いこの家には合っています。そのときはけっこう高いなと思いながらもホームセンターで5000円ほどで購入しましたが、その活躍ぶりからするとかなりいい選択だったと思っています。

それから何シーズンも経った今年、いざ物置から出してみるとタイヤがパンクしていました。シーズンのはじめにはだいたい空気が減っているので、空気入れでシュポシュポとやるのですが、今年はそのうちの1本が入れるそばから「スーッ」と音がして漏れています。よく見ると4本ともかなりひび割れがしています。室内だけで使っているとはいえずっとストーブ脇に置いているし経年劣化でしょうか。しかし中のチューブに穴があくようなことは実内では滅多に起きないと思うのですが……。

タイヤ交換しかたがないので、まずネットで「4.10/3.50-4 タイヤ」で検索。ひび割れは当分のあいだ我慢してチューブだけでもいいのですが、ほとんど見つからず、あっても価格が高いのです。元々5000円ほどで買った本体なのに、ほとんどタイヤ代だけだったということになるではありませんか。タイヤ込で探すと、なぜかチューブのみより安いものも見つかりますが、送料も考えるとまだ割高感があります。

いったんあきらめて、数年前にこの本体を購入したホームセンターに行ってみました。もううちのと同じ本体は売っていなくて、ノーパンクタイヤ仕様のものになっていました。チューブのみはそもそも取り扱いなし。タイヤ込だと1000円。ネットで調べたチューブのみより安い。よくわからない価格体系です。売っている本体はノーパンクタイヤ仕様になっているのに、交換用ノーパンクタイヤは取り扱いなし。タイヤ交換なんてせずに本体ごと買い換える人がほとんどなのでしょうか。

ともかく、その1000円というのがいちばん安くすみそうなので、その1本を買って帰ってきて付け替え、無事にうちの薪運搬カーは復活しました。

ここまで書いてきてつくづく思ったのですが、「ホームセンター」「ハウスカー」「ノーパンクタイヤ」……ひどい言葉だ。

薪ストーブのガラスを交換

薪ストーブのある暮らしについて書こうと思っているうちに時間が経ち、その最初がいきなり大きなトラブルのことになってしまいました。

今年(2015年)の初冬は暖かで、シーズン最初の火入れは例年より20日ほども遅く、11月も終わる頃。その2日め、「ピシッ!」という音とともに、ストーブ扉のガラスに、向かって左上から中央ほどまでヒビが入ってしまいました。火はガンガン燃えているし(だからこそヒビが入ったのですが)、どうしようと思っている間にまた「ピシッ!」と音がしてヒビは右下にまで達し、ガラスは2つに割れてしまいました。

この薪ストーブはもう20年ほど前のアメリカから個人輸入のもので、有名メーカーのものでもなく(いま調べてみるとこのメーカーの主力商品は焼却炉)、いまや廃番になっているようで部品として調達することはほぼ無理です。そこでまずはネットで「薪ストーブ 耐熱ガラス 交換」で検索しました。ほぼトップに出てくるブログ記事「薪ストーブのガラス交換」を読み、そこで紹介されているネット通販(これも先ほどの検索でほぼトップに出てきます)で入手できることがわかりました。そのサイトで簡単に見積りをとることができます。電気硝子建材の「ファイアライト」(5mm厚)が耐熱800℃と薪ストーブ向きで、うちのガラスは 400mm×250mm ほどの大きさなので、1万円強になりそうです。

扉をあけて内側から見たところ
ただ、形状が簡単な長方形ではなく、上辺が丸くカーブしています。加工料もいくらか上乗せになりそうですし、何しろこれを正確に伝えなければなりません。せいぜい 1mm ほどの誤差しか許されず、神経を使いそうです。

そこで、直接会って話せるガラス屋さんを探してみることにしました。電話帳(タウンページ)を繰ってみます(紙の電話帳を使うのはかなり久しぶりです)。「ガラス店」の欄は、ガラスが割れたらすぐに電話を受けたいという業者が、町名をやたらと羅列して何行にもわたって場所をとっていて、ちょうど「水道工事」や「鍵」の欄と似たようなことになっています。こういうところは今回のような特殊な案件を持ち込んでもまったく相手にしてくれないかふっかけられるかのどちらかしかなさそうな気がして、見送りました。ちょっと町工場ふうの業者が割と近くだったので、そこに電話してみました。先に結果を書きますが、これが大当たりでした。

私「そちらは、割れたガラスの修理など個人相手もやってらっしゃいますか? 実は薪ストーブの耐熱ガラスが割れてしまって、それを直したいんですが。」

ガラス店「あー、そういうのはストーブのメーカーに問い合わせられたほうがいいと思いますよ。」

私「実は個人輸入もので、メーカーに連絡をとるのは絶望的なんです。しかも20年ほど前のもので廃番になってるらしくって。」

ガラス店「そりゃあしかたないですね。」

私「それで、耐熱800℃くらいのガラスを切ってもらえたらと思ってお電話しました。」

ガラス店「えっ、800℃! それは無理なんじゃないかなあ。200–300℃のなら扱ったことあるけど。」

私「そうですか。ネットでいろいろ調べてみたら、ネット通販で買えるところはありそうなんですよね。だけど形が長方形じゃなくて、ひとつの辺がまーるくなってて、それを正確に注文するのがややこしそうなんで、近所で直接話せるところがないかなと思ってお電話したんですよ。」

ガラス店「そうなんですか。そのガラスの商品名わかります?」

私「電気硝子建材の『ファイアライト』ってやつみたいです。」

ガラス店「あ、それ扱ってます。そんな高熱でも大丈夫なのか。在庫あるんじゃないかな。」

私「そうですか! 400mm×250mm くらいの大きさです。」

ガラス店「ちょっと在庫調べときますよ。ちなみにネットでいくらくらいでした?」

私「その大きさだと1万円ちょっとになりそうでした。」

ガラス店「うーん。それくらいでできますよ。」

私「ありがとうございます!!」

ガラスにヒビが入ってすぐに電話したのが金曜日の夕方でした。翌土曜日は営業していてしかも外の仕事にも出かけないとのこと。その土曜日に再度電話で確認すると幸運なことに在庫があり、すぐに車で割れたガラスが入ったままのストーブ扉ごと持っていきました。

さっそく作業を始めるガラス屋さん。きれいに2つに割れているだけなので、それをきちんと合わせながら新しいガラスの上に重ねて油性ペンでさーっと線を引き型を取ります。詳しい説明も何も必要ありません。これが対面のいいところ。

雑談しながら作業は進みます。

ガラス店「へえ、扉こんなに重いんですね。薪ストーブはこれまでやったことないもんだから。昨日あれから問屋に聞いてみたりしましたよ。」

私「割れた原因に思い当たることがあって。夏の間に、いったんガラスを外してその回りのガスケット(ガラスロープ)を取り替えたんですよね。そのあと取り付ける時に、この金具のネジをしっかり締めてしまったんですよ。締め付けがきつ過ぎたのが原因だと思います。でもまあたぶん20年ほど一度も交換していないんで、劣化もしてたでしょうけど。」(締め付けすぎが破損原因になるというのが今回検索してみてたくさん出てきました。しょっちゅう扱っているストーブ屋さんならともかく数年に一度(あるいはまったく初めて)しかやらない者だとうっかりしてしまいます。事前にちゃんと調べておくべきでした)

ガラス店「なるほど。確かにちょうどその金具のところから割れてますもんね。」

私「耐熱ガラスを納めることもあるんですね?」

ガラス店「厨房機器や工場の機械の覗き窓なんかですね。それぞれそんな大きくないんだけど、その度にファイアライトを小さいので仕入れていると高くついて。そんな注文が何度かあったんで大きいので仕入れてたんです。それでその端材みたいなのが残ってたんですよ。」

私「なんてラッキーなんだろう。」

ガラス店「はい、できました。はめてみましょう。あれ、ぴったり同じ大きさなのに入らないな。」 (ぴったり入らなかったのは私がつけすぎたボンドがあちこちにはみ出して硬化していたからです。ガラス回りにはボンドは要らないというのも今回検索して知りました。まったく事前に調べておくべきでした。そのはみ出た部分をマイナスドライバーでこそぎ落として、ガラスは無事にはまりました)

ガラス店「今度はネジを締め過ぎないようにね。」

私「はい。」

ガラス店「じゃ、1万円とは言いませんから、8000円で。」

私「ありがとうございます!!」

という具合。面倒な説明も要らず、トラブル発生から24時間以内(実質30分足らず)、8000円(税込)で、ストーブ扉の割れたガラスは完全復旧しました。もし有名メーカーの純正品だったら、たとえばブログ記事のこんなところこんなところ、ストーブ店のこんなところなどを見ると、数万円もかかるところでした。親切な町のガラス屋さんに出会えてほんとうにラッキーでした。