WordPress 翻訳祭り—今さら注意してもらえない「日本語」について

今週末、全国各地で WordPress 翻訳祭りが開催されるようです。WordPressの各言語版がどのような仕組みで実現されているか、とか、実際に翻訳作業をするアプリケーションの説明などが、あちこちに見られるようになりました。(【追記】このあと WordCamp Kansai 2014 コントリビューターデイもありますし、今後も参照されるかもしれないので若干手直ししました。)

でも、もっとも根っこのところにある「日本語」については、日本語の話者ならもう今さら言うことはないという感じで、なかなか誰も注意してくれません。

ふだん自分が書く日本語と違う点は、これが協調作業だということです。WordPress 本体と、テーマやプラグイン、Codex で、書き手によって文体や表現がバラバラだと、読み手に対していらぬストレスを与えることになります。ここは自分が気持ちよく書くことよりも、自分だけ外れた書き方になっていないか、に注意することが必要です。

日本語スタイルガイド

WordPress 本体の翻訳にあたっては、ガイドラインを定めています

まず基本となる「日本語スタイルガイド」(簡易版の PDF) があって、そこに書かれているルールから外れる WordPress 日本語版独自のルールという形で決めています。翻訳祭りに参加される方は、ぜひ事前に目を通して、もちろん全部覚えておくことは難しいでしょうが、「あれ、どうだったっけ?」と引っかかる程度にはしておくといいでしょう。

  • 日本語の句点は全角の「。」を、読点は全角の「、」を使う。
  • 日本語には全角文字 (2 バイト文字) を使う。
  • 英数字、符号には半角文字 (1 バイト文字) を使う。(例外は句読点、鍵括弧、中黒。これらは全角文字を使う)
  • 数字は、慣習的に使われている場合を除いて、算用数字 (1、2、3) を使う。

このあたりまでは、特に気をつけなくても大丈夫だと思います。

以下、気をつけないと自分の癖が出てしまいそうなところを挙げてみます。

文字間のスペース

  • 半角文字と全角文字の間には、半角文字 1 字分のスペースを入れる。ただし例外は
    • 半角文字の前後が『』 「 」 。、の場合は半角スペースを入れない。
    • 丸括弧 ( ) の外側には、全角文字がきても半角文字がきても半角文字 1 字分のスペースを入れる。
    • 丸括弧 ( ) の内側には、全角文字がきても半角文字がきてもスペースを入れない。
    • コロン : の前には半角スペースを入れない[1]
    • 半角数字の前後には半角スペースを入れない(日時など。例: 2009年5月10日12時30分48秒、1件のコメント、150ピクセル)

です。これははじめに意識しておかないと、うっかり適当にやってしまいがちです。

外来語カタカナ末尾の長音表記

基本的には内閣告示第二号「外来語の表記」に従います。

ざっくり言うと原則として、英語の語末が -er、-or、-ar のときは長音記号を付け、-y のときは長音記号を付けません。ただし例外も多くあります。

漢字かな表記

漢字にするかかな書きするかは

  • 原則として名詞と動詞には漢字を使い、接続詞、連体詞、助動詞、補助動詞、助詞、連語、形式名詞、接頭語、接尾語はかな書きにする。

です。「日本語スタイルガイド」 (長いほうの PDF) の付録に一覧表があります。「してください」「すでに」「すべて」「だれも」などはかな書きです[2]

ここまで、WordPress 本体のガイドラインを紹介しました。テーマやプラグインもぜひこれに準拠してほしいと思います。

Codex もほぼ準拠していると思いますが(どこかにガイドラインが示されていましたっけ?)、外れているものもけっこう見られます。括弧が全角になっていたり、和文-欧文間のスペースがあったりなかったり……。今回のような催しをきっかけにこのあたりのルールも整備されればいいなと思います。

ところで、「用語」は、WordPress 本体やテーマ・プラグインを参照して、合わせる必要があります。WordPress 本体で見かけた語が Codex では別の訳語になっていた、ではたいへん困ります。手間ではありますが、すでにある訳語を探して、合わせましょう。どうしてもそれらが間違った訳と思える場合には、それぞれの作者・翻訳者、日本語版作成チームに連絡して、連携して全体をよくしていきましょう。

それでは、Happy translating!

  1. 「日本語スタイルガイド」に明記はされていませんが、例文によるとこうなっています。
  2. 「すべて」「だれ」がかな書きなのは、この日本語スタイルガイドが作られた時点では常用漢字にそれらが含まれていなかったからだと思います。2010年の改定で「全て」の読み「すべて」、「誰」という漢字が含まれたので、今後はこれらは漢字書きでもいいかもしれません。しかしいま勝手にそう判断しても統一がとれませんので、全体の合意が形成されるまで当面はかな書きのままとしましょう。

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