Hubot の ping コマンド
Slack というコミュニケーションツールを利用することになって、そこでこれは便利かもということで Hubot をいじってみています。
現時点での安定版 Debian Wheezy に Hubot をインストールするにはどうすればいいんだとか、Slack に連携させるときに Heroku を使う方法ならすぐに見つかるが、自前ホストのHubotとSlackを連携させるにはどうするんだとか、いくつか引っかかりながらも、ここにリンクした情報が既にあったのでうまくいきました。
この bot がちゃんと作動しているかどうか反応を見るのに、ping というコマンドがはじめからサンプルとして付属しています。bot の名前に ping
と付けて問いかけると、PONG と答えるというものです。
user> hubot ping hubot> PONG
さて、「HubotのScriptを翻訳するとかわいい」にありますように、日本語化すると愛着がわきます。ping の Script はとても簡単で、肝は
robot.respond /PING$/i, (msg) -> msg.send "PONG"
です。使用目的はとにかく存在確認ですから、日本語にすると
robot.respond /いるのか\?$/i, (msg) -> msg.send "はい、ここにいます!"
です。
また、Hubot を起動するときに bot 自身の名前と別名を付けることができます。そこでこれを日本語で
bin/hubot --name wapuu --alias わぷー
と付けてやると、ますます親しみがわきます。これで応答は
user> わぷー いるのか? wapuu> はい、ここにいます!
となりました。
「いるのか?」のバリエーションの正規表現
このままですと、script の質問文のところは正規表現で書けるのに、ただ「いるのか?」に正確にマッチしないと返答しないということになっています。
存在確認の日本文「いるのか?」を考察してみます。これを4つ(疑問符を入れると5つ)に分けて、それぞれのバリエーションとその組み合わせを思いつくまま挙げてみました(図)。ありえない組み合わせ—たとえば、2段目が「ります」のとき、その前に「い」はありえない—の制限を付け加えながら、正規表現にして書いてみると、次のようになりました。
/(((い|ゐ|居)(て?))(?!り)|(お|を|居)|((い|居)(て?)は)(?!ま))((る|ん(?=の))|((り?)ます)(?!ん))((の?ん?)(です)?|(んだ)(?!か))?(か(い?な?|よ|ね)?|(よ?)(ね|な))?\s?(\?|?)/
これで、質問文は「いる?」から「いてはりますのんかいな?」(いや、これが現実にありうる表現かどうか確証は持てないのですが)まで対応できます。
ping の目的は存在確認なので、日本語では「生きてる?」とも言いそうです。1段目の前に「生きて」を付けて、元の1段目を必須から任意に変更すればよさそうです。さらに、「調子どう?」「元気?」というフレーズもよく使いそうですね。これはもうそのままということにします。だんだん手抜きになってきました。
結局、日本語版 ping はこうなりました。
robot.respond /(((い|ゐ|居)(て?))(?!り)|(お|を|居)|((い|居)(て?)は)(?!ま))((る|ん(?=の))|((り?)ます)(?!ん))((の?ん?)(です)?|(んだ)(?!か))?(か(い?な?|よ|ね)?|(よ?)(ね|な))?\s?(\?|?)/i, (msg) -> msg.send "はい、ここにいます!" robot.respond /(い|生|活)きて(((い|ゐ|居)(て?))(?!り)|(お|を|居)|)?((る|ん(?=の))|((り?)ます)(?!ん))((の?ん?)(です)?|(んだ)(?!か))?(か(い?な?|よ|ね)?|(よ?)(ね|な))?/i, (msg) -> msg.send "はい、ここにいます。" robot.respond /(調子どう|元気)/i, (msg) -> msg.send "はい、元気です。"
ちゃんと数えていませんが、これで「いるのか?」を意味する数十種類の表現に答えることができるようになりました。
このWapuu bot は、WordPress の日本語コミュニティがこれから活用していこうとしている Slack にいます。WordPress 本体の開発元でこの Slack を使っていくことになったことに触発され、そこに収まりきれない話題—日本語圏特有の話題、日本語で話したほうが楽な話題など—を扱っていこうという場所です(たぶん)。単に「WordPressの使い方」を尋ねるような場所ではありませんが、何かちょっとでも手助けしたい(日本語圏で最も求められているのはたぶん翻訳です。本体のみならず多くのドキュメントやニュースなどが翻訳されるのを待っています。もちろんほかにも何かがあります。たとえばこの記事のように、どうでもいいような冗談を仕込むとかもきっと)と思っている方があればぜひ参加してみてください。参加資格などなく、参加方法の手続きを踏めさえすれば誰でも参加できます。Wapuu bot はそこで待っています。