Expert Mouse を買った(14年ぶり2回め)

この前の記事「HHKBを買った」から9か月も何も書いていなかったのか。しかもその時とほとんど同じような内容とは……。

Expert Mouse トラックボール(EM7) を長いこと使っています。正確に記録を残していませんでしたが、今では高校生になっている、友人の子がその当時はよちよち歩きで、膝に乗せてこのボールを触らせてあやしたことを覚えているので、購入したのは14,5年前のことです。

今でも問題なく使えているのですが、この前の HHKB と同じく、ふと壊れる前に新しくしてみようという気になりました。これまた HHKB と同じく、すっかり体に馴染んでいるので別のものに変えようという気にはなりません。現在もデザインもまったく変更なく同じものが販売されています。ありがたいことです。

新品と比べてみてみれば、古いものは何らか劣化していることに気づくかなと思ったのですが、案外そのままでした。スイッチの感触もほとんど変わりありません。見た目は確かに指の触れるところの塗装が剥げているのと、スクロールリングのギザギザがすっかり摩耗してツルツルになっているくらいでした。

ときどき掃除してきれいに使っているつもりでしたが、支持球が汚れているのか操作球が摩耗しているのか、新品のほうがはるかに滑らかにボールが動きます。この製品のスクロールリングの出来はあまり評判がよくなくて、前のは一度分解してどこか磨いたりしたような記憶がありますが、今回の新品は最初からスムーズで心地よく回ります。

自分の使い方では、本体は20年はもちそうです。HHKB 同様、この先これを買い換えることはもうないかもしれません。

EM7 とペットボトルカバーによるパーム(リスト)レスト
付属のパームレストはとうの昔にひび割れてだめになったので、試行錯誤の末、今は100円ショップで買ってきたペットボトルカバー350mL用にタオルを詰め込んで使っています。詰物をおはじきか何かと工夫しようと考えていますがまだ実現できていません。かなり高めにして、パームと言うよりは手首の上のほうを置いています。

ボタン割り当て

EM7 と右手ボタンの割り当ては自由に設定できるため、各自が自分の好みにすればいいのですが、参考までに私の例を晒しておきます。

右利きで、キーボードの右側に置いて右手で使用しています。

  • 左下ボタンを左クリック相当(親指)
  • 右下ボタンを右クリック相当(小指)
  • 右上ボタンを中クリック相当(薬指)
  • スクロールリングは時計で言うと3時の位置を薬指で、時計回りで下スクロール、半時計回りで上スクロール

ボールはだいたい人差し指と中指の2本の指先で操作しています。

HHKBを買った (22年ぶり2回め)

初代 HHKB の裏面ラベル

一つ前の型 HHKB Professional2 Type-S (PD-KB400WS) が Amazon のタイムセールで 20% OFF になっていたので、思わず購入してしまいました。現時点の最新型 Hybrid ではなく、USB 有線のみのものです。

これまで使っていたのは初代の Happy Hacking Keyboard (PD-KB01) で、裏を見ると1997年7月のものでした。

アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。

いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。

の言葉のごとく、本体は何度も替わりましたがこのキーボードを22年も使い続けてきました。

まだ壊れてしまった訳ではありません。左シフトの反応が少しおかしい (キーをいったん外して紙片を入れて押し込みの深さを調整すれば大丈夫) のと、数年前に掃除した際にスペースバーの裏のバネを1本紛失してしまったのが不都合と言えるくらいです。

1990年代、私は Sun のワークステーション (SPARCclassic) を独占してデスクトップで使えるという環境にあったのですが、純正のキーボードは確か Type5 で、かなり大きくて邪魔なものでした。「CTC 省スペースキーボード」を入手して使ってみたのですが、これはノート PC のキーボードを持ってきたようなもので、キーストロークが非常に浅く、打鍵感がどうにも不快でしかたありませんでした。

そこに Happy Hacking Keyboard が登場してきたので購入したのです。ケーブルは Sun 用と PS/2 用 があって、はじめはもちろん Sun SPARCclassic で使っていたのですが、そのうち PC がどんどん高性能・低価格になり、Debian をインストールした PC がメインになり、PS/2 で接続して使うようになっていきました (SPARCclassic は画面なしキーボードなしで、リモートログインして使うサーバーとしてしばらく存在していましたが、6,7 年で退役しました)。

新旧 HHKB

それから本当に何台も本体は入れ替わっても、キーボードはずっと生き残り続けました。しかし接続口が Sun または PS/2 では、そろそろ「馬」に合わなくなってきたようです。

新旧の二つを並べてみると、この色の違い! 新品どうしならおそらくほぼ同じ色のはずです。煙草は吸わないのですがここまで黄ばんでいたとは。毎日目にしていると案外気がつかないまま、ここまで変色していました。

新旧 HHKB を横から見る

さっそく新しいのを使ってみていますが、やはりちょっと違和感があります。写真にうまく撮れませんでしたが、本体の厚さ(高さ)がほんの数 mm ですが高くなり、それに本体断面のカーブがゆるくなっています。それから、各キーの縁が微妙に指に痛い。前のは使い込みすぎて縁が丸くなっていたのでしょうか。もちろんこれらは慣れの問題で、すぐに気にならなくなるでしょう。

今回購入したものがこの後また20年ほどもつとしたら、次のキーボードを買うことはもうないかもしれません。

「6÷2(1+2)」問題は100年前にも議論されていた

明示されない乗算と除算記号の演算順序について、記事『「6÷2(1+2)」問題について教育委員会に問い合わせてみた』『6÷2(1+2)問題あらため2a÷2a=1問題 — はてなブックマークのコメントに反応してみる』を書いたのは2015年3月でした。そのときですら既に周回遅れで、検索してみるとその2,3年前にも話題になっていたようです。そして年に数回ほど、突然ばっとこの記事へのアクセスが増えることがあります。どこかで話題になり、検索してたどり着くのでしょう。

私はこの問題に特に興味を持っているわけでもなく、その後を追っているわけでもないのですが、今年(2019年)に入ってまた急にアクセスが上昇したので、思い出したように自分でも検索してみたところ、興味深い例を見つけました。

Lennes, N. J. “Discussions: Relating to the Order of Operations in Algebra.” The American Mathematical Monthly 24.2 (1917): 93-95. Web. https://www.jstor.org/stable/2972726

です。内容をかいつまんでみると、

  • 理論的には、演算順序は左から右なので、9a2÷3a = 3a3 であって 3a ではない。
  • しかし実際には、9a2÷3a = 3a のような例ばかりが見られる。
  • 当時の Chrystal の代数の教科書では、これを避けるため、乗算記号のない積を除算記号の直後に置かないよう注意深く書かれていた。
  • それに続くいろいろな人による教科書ではその注意が足りず、10bc\div 12a = \frac{(10bc)}{(12a)} などと書かれた。
  • 9a2÷3a は 3a を意味して 3a3 ではない、というのは「数学の慣用表現」である(英単語 drink の過去形が drank であって drinked でないように)。
  • これは論理的ではなく、歴史的な事柄である。

というものです。

以前の私の記事には、なんとか 9a2÷3a が 3a であることの理論的(?)根拠を示そうと、多くのコメントが付きました。私にはさっぱり響きませんでしたが。それが100年も前に「理論ではない、“慣用表現”だ」と喝破されていたのでした。古い文献に 9a2÷3a が 3a のような例があることをもって、それみろと言わんばかりにこれを主張する人がありましたが、むしろ逆で、古い文献にあるからこそ「歴史的遺物」とも言えるわけです。

以前の記事へのコメントに答えて私も「Smith の第33条で、(a÷b÷cは)「a÷bcと書くこともあるよ」と、ほんのおまけのように付け加えていることは、ただこの慣習に触れているにすぎないのではなかろうか、と思わされました。」(2015年3月18日のコメント)と書いています。今あらたにその思いを強くしています。

繰り返しますが、私はこの問題に特段の興味があるわけでもなく緻密に議論を追っているわけでもありません。その私は今、

  • ずっと昔は、乗算と除算の優先順位が同等でない考え方もあった。“If an arithmetical or algebraical term contains ÷ and ×, there is at present no agreement as to which sign shall be used first.” (Cajori ”A History of Mathematical Notations” 1928–29)
  • 「慣習的に」9a2÷3a が 3a であるような表記もしばしば行われた。
  • 既に100年前に、それは慣習的・歴史的なものであり、理論的ではないと指摘されていた。
  • 理論的でない表記は廃れるかと思われたが、いつしか「慣習的」であることが抜け落ちた。
  • 今日でも中学生にはこれが「慣習的・歴史的」とは告げずに教えられている。

のような流れではなかろうかと推測しています。

この Lennes (1917) の存在を教えてくれたのは、今回検索していて見つけた動画でした。

私の記事よりは後の2016年に公開され、現在(2019年)までに1千万回以上も視聴され、7万件以上のコメントが付いています。もちろんすべてのコメントを見ることはできていませんが、ざっとみたところ「1派」も「9派」もたくさんいます。このことからはっきりわかるのは、この問題は「あいまい」であるということです。

以前の記事へのコメントでも書きましたが、この問題についての私の考えは次のとおりです。それは上述の100年前の指摘を知った今も変わりません。

ab÷ab を ab÷(ab) と書きさえすれば誰もあいまいだとは思いません。中学校でもこの表記で教えて何か困ることがあるでしょうか。括弧を付けても単項式の除算の意味を教えるのに何の不都合もありません。現状のあえて括弧を付けない ab÷ab でしか表せない何かがありますか。ab÷ab と書かなければならない必然性がどこにもありません。(2016年3月7日のコメント)
「すべき」ことは、むしろ括弧を使うことです。別の解釈をさせたければ ab÷(ab) と、括弧をつかう「べき」です。単項式わる単項式の理解度を計測するのに、括弧を使っても何の不都合もありません。(2018年9月4日のコメント)

【この記事にコメントする際の注意】

この話題に関する以前の記事『「6÷2(1+2)」問題について教育委員会に問い合わせてみた』『6÷2(1+2)問題あらため2a÷2a=1問題 — はてなブックマークのコメントに反応してみる』には非常に多くのコメントが付けられ、後から読む人が苦労するほどになってしまいました。そのため、それらの記事へのコメントの受付を停止します。

この記事へのコメントは、それらの記事に既に付けられているコメントと同内容と私が判断するものは、原則として不掲載とし、削除することをあらかじめ宣言しておきます。自由に意見を述べることを封殺する意図はありません。後にここを目にする人たちに対しての配慮です。ご理解ください。

ノートパソコンに Debian をインストール

スウちゃん (仮名、4年生) が「ノートパソコンがほしい」と言い出しました。学校でも PC に少し触ることがあるし、家でも親がスマホやタブレットでなく大きな画面でカタカタやっているので興味はあるのでしょう。ほう、では何をやりたいか書き出してごらん、と言うと、「字を打てるようになる」「ゲーム」「メール」「プリント」とのこと。「プリント」って何と聞いてみると、宿題などのために調べ物をしたらそれをプリンターに出したいということでした。

ラップトップ型パソコン

興味を持ったときがチャンスだと思い、早速探してみました。はじめ中古は考えていなかったのですが本人に「中古でもいい?」と聞いてみたらまったく気にしないとのことで、1年落ちで14インチ、メモリ8GB、SSDが240GBという一段上のスペックのものが安い価格で見つかり早速購入。いまどき OS なしのパソコンを探すのは難しいので Windows10 も込みです。状態説明で「タッチパッドにテカリあり」となっていましたが、仮に新品でも使いはじめたらすぐにこのくらいになってしまうだろうという程度で、それに普段使う角度から見るとまったく気になりません。ほかに特に問題はなく、今のところいい買い物だったと思っています。

さて Windows10 が入っていても、私自身が普段使いしておらず面倒を見きれないので、さっそくおさらばすることにします。購入時に聞いたのですが Windows のプロダクトキーはどこかに記載したものは一切ないとのことでしたので、一度 Windows10 で起動して確認し (その方法はネットで探しました)、控えておきます。これで、そのうちどうしても他所と同じ Windows じゃないとと言い出した時には戻せます。

Debian stretch のインストール

現時点での安定版 Debian stretch をインストールしていきます。

まず親機で netinst イメージ (300MB ほど) を USB メモリにコピーします。これをラップトップ機に挿して起動し、あとは画面の指示に従っていくだけです。途中、ハードウェアを解析し必要なものを要求してくるので、それ (firmware-iwlwifi の deb パッケージ) を親機で 別の USB メモリに入れて、ラップトップ機の別の USB の口から与えました。ネットがつながればあとはあっさりインストール完了です。

task-xfce-desktop を選択したので、LibleOffice はじめ一通りのアプリケーションが揃っています。日本語変換は fcitx と mozc (キー設定はMS-IME互換) の組み合わせ。デスクトップのパネルを下に配置することで Windows にかなり似せました。「学校でさわるのとちょっと違うよ」と言い、スウちゃんも今の時点では難なく受け容れています。

スウちゃんの希望 (「ゲーム」は昨年のクリスマスに Nintendo Switch をもらったこともあって却下) に沿うため、thunderbird をインストールしましたが、実際にはまだ使っていません。XMPP (チャット) クライアントの Gajim を入れてやり、同じ家の中から私が話しかけてやります。スピーディだし、絵文字もすぐ選べるから楽しいし、なんとか返答しようとしてキー入力もやります。動機づけには十分です。

印刷のためには、cups のパッケージを一通りと、うちにあるのは Brother のプリンターなので、メーカーのサイトから入手したドライバーをインストール。そうか、そのドライバーは i386 用なので、その前にマルチアーキテクチャ対応にする必要がありました。

久しぶりにクリーンインストールを行いましたが、それにしても Debian のインストールからデスクトップ環境構築までがこんなに楽になっているとは驚きました。

醤油差し

多くの人に経験があると思うのですが、醤油差しの液だれは地味にストレスです。これまでに100均のものをはじめいくつも使ってきましたが、どうもしっくりきません。何かいい知恵はないかとネットで検索してみると出るわ出るわ……。皆さん同じような思いをされているのでしょう。

そういうページで紹介されているものは案外種類が少なく、ベスト10となると多少順位は変わっても同じような顔ぶれがランクインしています。

最後に使っていた安物の醤油差しは差し口からの液だれなのか蓋と本体の継ぎ目からの漏れなのか判然としなかったのですが、周囲の汚れることおびただしかったのです。そこで、まず頭で考える私にはひとつこれだけはと思っている点がありました。注ぐ際に醤油が蓋と本体の継ぎ目をまたがなければ、後者の問題は起こり得ません。あとは注ぎ口の形状にのみ注意すればいいのです。

そうすると、あちこちで紹介されている白山陶器 G型しょうゆさし 大 白磁が候補に挙がりましたが、評判をじっくり見ていくと少数とはいえ液だれがあるというのが見つかります。陶製だと精度が出にくいのでしょうか、個体差があるのではないかと思われます。

結局、陶器より精度のよさそうなガラス製(残量もわかりやすいですし)の「iwaki クラフトライン しょうゆ差し 100ml K5023-SV」に決めました。しばらく使ってみましたが、注ぎ口からの液だれはまったくありません。もし蓋のパッキンが劣化して密閉性が多少悪くなっても醤油はそこを通過しないのでぜんぜん問題はありません。もう少し値段が安かったら言うことはありません。

さて、見た目が面白いのでスウちゃん (仮名・9歳) に
父「こっち (本体側) とこっち (注ぎ口側) の醤油の高さは同じになるんだよ」
などと話をしていました。
父「傾けても高さは同じになるよ」
スウ「違うよ」
父「えっ」
スウ「違うよ」
父「……」
よく見ると確かに。注ぎ口のほうは水平ですらありません。うーむ。「それは“表面張力”と言ってだな、」と言いかけましたが、残念ながらスウちゃんはそんなところまで興味はないのでした。もし入試にこんな問題があるとすれば、但し書きがないと「出題ミス」と揚げ足を取られることになりそうです。

薪ストーブでブルーベリーパイ

スウちゃん (仮名、9歳) が突然「リンゴない?」と聞いてきました。数日前に買ってきた冷凍パイシートのパッケージの裏に書いてあるアップルパイの作り方を見ていたのです。「そんな急に言われてもないよ」と答えるしかありませんが、夏に採ったブルーベリーがまだ冷凍庫に残っていたことを思い出し、これでやってみることにしました。

材料

  • 冷凍パイシート 4枚入
  • ブルーベリー 適量 (100gくらい?)
  • 砂糖 適量 (30gくらい)

小鍋 (相変わらず鉄鍋でも気にしないことにします) にザラザラっと入れたので正確にはわかりませんが 100gくらいのブルーベリー、それを見て砂糖も適当に。薪ストーブの天板に載せるとすぐ水がどんどん出てきます。とろみが出るまで1時間ちかく煮詰めました。

1枚のパイシートにブルーベリーのジャムを載せ、その上に短冊状に切ったもう1枚分のパイシートを載せました。パッケージには4枚入だったので、これが2組できます。

焼くのも薪ストーブを使います。うちの薪ストーブの火室は幅18インチ、奥行き21½インチとやたら大きく、またガラス窓の前面以外は1¼インチ厚の耐火レンガで囲われていて、ちょうどピザ窯みたいなものなのです。朝から焚いているのでしっかり熱くなっています。火室内の温度を見極めるのが難しいのですが、暖房としては弱すぎるくらい温度が下がってきた頃がちょうどよくなります。炎が上がっているのではもちろんだめで、ジャムを煮詰めている後半からだんだん火を絞り、残った熾は奥の方に押しやって手前を灰だけにして (そうしないと底が熱くなりすぎ、上面が焼ける前に裏面が焦げてしまいます) 五徳を入れ、そこにパイ生地を載せたスキレットを置きます。

数分で焼き上がります。するとスウちゃんはさっさとそれを持ってお友達のところへ出かけていってしまいました。出来上がりの味はわかりませんが、鍋に残ったジャムを舐めてみたらちょっと甘すぎたかもしれません。今回は冷凍のパイシートを買ってきていたので、たいへん楽でした。

薪ストーブで八朔マーマレード

家の裏にある八朔がたくさん実をつけたので、マーマレードを作ることにしました。肥料どころか普段から何一つ手をかけない放置状態ですから、掛け値なしの無農薬です。

「焦げつかない程度に火を強くして短時間で」らしいですが、量が多いと結局は時間もかかるし何かと大変なので、うちでは薪ストーブで煮込みます。それに金属でなくホーロー鍋のほうがいいらしいですが、それも気にしないことにします。

材料

  • 八朔 2000g
  • 白砂糖 800g

作業1日め

今年一番の雪の後にソリを引いて収穫に行きました。積もった雪のおかげで実に手が届きました。でもこの雪で大枝が折れてしまいました。来年以降はどうなることやら。

八朔をきれいに洗い、4分の1にカットして、外皮と果肉に分けます。

外皮は、千切り (できるだけ薄くスライス) します。今回はスウちゃん (仮名、9歳) が外皮をぜんぶ包丁でスライスしました。けっこう固いし大丈夫なのかと思いましたが割と上手に薄く切り、いつの間にかこんなことも難なくこなせるようになったんだなあと感心しきり。

果肉は、スウちゃんが外皮を切っている間に父がひたすら薄皮剥き。本当の果肉と、薄皮・種を別にして保存しておきます。

2人とも手が忙しいだけなので、たくさん色々な話ができました。普段は宿題などやらなければならないことや楽しいことに気持ちがいってしまうので、じっくり話す機会が実は減っていたのだなと逆に気づかされました。

外皮は水を換えながら揉み洗いを数回、その後たっぷりの水に浸しておきます。そんな感じで1時間ほどで作業終了。

作業2日め

都合で1日あけたので、丸2日近くも水に浸しておいたことになります。途中で何度か水を換えています。

小鍋で、別にしておいた薄皮・種を少量の水で煮はじめます。2時間ほどでどろどろになるのでザルでこし、その汁を後で使います。

水に浸していた外皮を、水切りして鍋に入れ、500ccくらいの水[1]で1時間ほど煮ます。はじめは全部が水に浸らないのでときどきかき混ぜます。

果肉ぜんぶと砂糖の半量、小鍋でできた汁 (増粘剤となるペクチン) を加え、さらに1時間ほど煮ます。瓶の煮沸に湯をたくさん使うので、八朔を煮ている鍋の脇でヤカンなどで沸かしておきます。

八朔を煮ている間に瓶の用意をします。きれいに洗って大きな鍋で煮沸します。大鍋は薪ストーブの上に載せにくいので、これはガスコンロで行います。

さて八朔に戻って、残りの砂糖を加え、水分が少なくなり粘りが出るまで煮ます。焦げつかないように何度もかき混ぜます。ヤカンの湯は煮沸に使ってしまいましたが最後の瓶詰めにもたくさんの湯を使うので、またヤカンで沸かしておきます。

最後は、長期保存のための瓶詰めです。きれいになった瓶にマーマレードを入れていきます。瓶の口とネジの部分をきれいに拭いてから蓋を載せ、ネジ蓋を軽く締めます (蓋の丸い平らな部分と、周囲のネジの部分が分離しているタイプです)。このときはまだ強く締めません。カゴに入れて煮立ったお湯に瓶の下半分を浸し、10分ほど瓶ごと茹でます。これは大鍋であることと瞬発的な火力がほしいのでガスコンロで行います。

充分熱くなったらそこから瓶を引き上げながらネジ蓋を強く締めます。だんだん冷めてくると中の圧力が下がり、「ペコッ」と音がして蓋の中央が凹みます。密封できている証拠です。これで軽く1年は保存できます。半パイント瓶に11本のマーマレードが完成しました。

今回はちょっと手を抜いたこともあって、苦味がやや強くなりました。それはそれで美味しいですけどね。外皮の内側の白い部分を包丁を入れてできるだけ取り除く、外皮を煮る際のはじめの煮汁を捨てる、薄皮・種は使わない、そして砂糖を多めになどすれば、もうちょっと苦味の少ない甘いマーマレードができるかもしれません。

  1. 結局、最後は煮詰めるので水の量は適当です。